• 2023年7月14日

脳卒中が心配:どのような時に病院に行ったらよいか?脳卒中の前兆とは?

ふとした症状が脳卒中の前兆かもしれないと思って来られる患者さんが若い方にもおられます。近親者や職場で脳卒中になった方がいて心配という場合が多いようです。

脳卒中とは、「何らかの原因により脳血管に破綻をきたし、突然、意識障害、その他の神経学的異常をきたした状態」と定義されています。この「突然」がキーワードと言えるでしょう。

脳卒中には、大きく分けて、くも膜下出血、脳出血、脳梗塞(割合はだいたい1:4:15)があります。

くも膜下出血は突然の頭痛で始まります。脳出血も突然の神経症状で始まります。これらは、通常いったん症状が始まったら何日も続きます。また、血圧が高くなることがほとんどです。軽くても、突然症状が始まって続くようであれば、病院を受診すべきです。もう一度出血をおこして取り返しのつかないことになりかねません。

脳梗塞には、一過性脳虚血発作TIAという病態があります。突然に症状がでても脳梗塞に至らず完全に元に戻ります。まさに前兆を示しています(脳梗塞になってしまったけれど症状が元に戻る場合もあります)。その症状が脳梗塞の前触れかどうかを見分ける指標があり、よく使用しています(ABCD2スコア)。5つの項目で評価し、点数が高いと脳梗塞のリスクが高くなるというものです。年齢(Age)が60歳以上、糖尿病 (Diabetes)、高血圧(Blood Pressure、140/90以上)それぞれ1点で、そうでない場合は0点。症状 (Clinical Features)では、片麻痺が2点、言語障害が1点、それ以外は0点。症状の持続時間(Duration of symptoms)が60分以上は2点、10分以上は1点、10分以下は0点です。最高7点、最低0点です。このスコアを報告した論文では、7点では3か月以内に4人に1人が脳梗塞となり、0点では脳梗塞にはなっていません。

60歳以下で、高血圧がなく、糖尿病でもなく、症状が10分以下で、片麻痺でも、言語障害でもない症状の場合は、脳梗塞になるリスクは極めて低いということになります。高齢で、高血圧や糖尿病、脂質代謝異常を指摘されても、放置している方は要注意です。日ごろの健康管理が重要であることが分かります。

とうやくりんどう(北岳肩の小屋付近 8月)

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