• 2024年12月25日

ずきっと痛む頭痛―穿刺様(さすような)頭痛にはどのようなものがあるのでしょう。

何かの拍子にずきっと瞬時の痛みが走る頭痛があります。我慢できないほど激しいものからそうでないものまでいろいろの強度、部位、そのあと痛みが完全に消えるものから残るもの、痛む場所がかわるもの、周辺の皮膚に違和感があるもの、圧痛を伴うものなど、いろいろのタイプがあります。

①一次性穿刺様頭痛

穿刺様の痛みは不規則な頻度で1日に1~多数回再発します。原因が明らかでないもので、鎮痛薬が有効で、2週間くらいで治ることがほとんどです。80%で3秒以内ですが、まれに120秒まで持続します。1つの領域からほかに移動し、同側あるいは反対側にみられることがあります。1か所に限定していることもありますが、その場合、この後に説明する頭痛である可能性があるため注意が必要です。

②一次性咳嗽性頭痛

咳やいきみ(くしゃみやトイレなど)に伴って起こる頭痛でほぼその直後にピークに達し、その後1秒~数分(長くて2時間)まで続くものを呼びます。この頭痛でも穿刺様に感じることがあります。頭蓋脊椎移行部疾患、脳腫瘍や髄膜炎など頭蓋内疾患を必ず否定しなくてはいけません。

③後頭神経痛

後頭神経の支配領域に数秒~数分間持続するズキンとするようなするどい痛みを繰り返します。頭皮や髪の毛を触ると異常感覚を感じることがあります。また、後頭神経を圧迫すると圧痛や放散痛を感じることがあるのが特徴です。ブロック注射で症状は(一時的に)改善します。左右両方に起こることは稀です。

④後頭神経・三叉神経痛

後頭神経は脊髄レベルで三叉神経脊髄路核と交通しているために前頭部まで痛くなることがあります。必ず片側に起こります。

⑤帯状疱疹

上記の③と④の症状の後(3~7日)に頚部や顔面に皮疹がでて初めて判明します。頚部リンパ節が腫れたり、発熱があったり、顔面神経麻痺を同時に合併することもあります。若い人には少なく、50歳以降に3人に1人に発症するとされています。抗ウイルス剤をなるべく早く服用することが有用です。

⑥三叉神経痛

片側の三叉神経の支配領域に限局して起こる数分の1秒~2分の劇痛(後頭部が痛くなることはありません)。ものを食べる、歯を磨く、話をする、風に当たるなどの刺激によって起こるのが特徴です。痛みがないときは顔面の知覚障害などの症状は全くありません。三叉神経の起始部に血管が圧迫することによって起こります。まれに脳腫瘍などのこともあります。カルバマゼピンが極めて有効です。薬の効果がない時は手術が有効です。

⑦その他

片頭痛でも、首を下げたとき、立ち上がったときに、ずきっと痛むと訴える方がおられます。片頭痛の痛みは拍動性頭痛が混ざることがほとんどですが、締め付けられるよう、頭全体が割れるよう、など多様な訴えがあります。また、群発頭痛でも目の奥が刺すように痛いと表現されることもあります。

まるばたけぶき(千枚小屋付近 8月)

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