• 2023年8月8日
  • 2023年12月1日

エストロゲンを含む低用量ピル:片頭痛と重篤な合併症の関連

開業して、多くの女性がピルを服用されているのを知りました。避妊に使用されている方もおられますが、多くは月経不順、月経困難症や、月経前症候群(PMS, premenstrual syndrome)などの月経異常の患者さんです。服用している薬をお伺いするのは、医師の問診で必須のことですが、ピルに関しては片頭痛患者さんでは特に重要です。ピルは前兆のある片頭痛では禁忌、前兆のない片頭痛では慎重投与とされているからです。産婦人科医からは、頭痛が片頭痛かどうか診断してもらうように、と言われて来院される患者さんもおられます。脳梗塞のリスクを、それぞれ、約6倍、約2倍増加させることが知られています。若い女性の場合、脳梗塞のリスクは高いものではありません。私自身これまで長年脳卒中診療に携わってきましたが、もやもや病などの血管の病気に関係のない若年女性の脳梗塞は極めてまれにしか経験しておりません。また、ピルが原因と考えられたのは、性転換して服用していた患者さん一人のみでした。自分の病状とピルの効果をよく把握して、リスクとベネフィットを考えたうえでピルを使用するとよいかと考えます。エストロゲンを含まない薬にする方法もあります。一方、片頭痛の患者さんにとって、喫煙は脳梗塞をさらに起こしやすくすると言われています。ピルの有無にかかわらず、片頭痛の患者さんには、禁煙を強く勧めます。

また、まれではありますが、エストロゲン離脱頭痛の患者さんもおられます。3週間以上エストロゲンを摂取し、中断したのち、5日以内に発現する頭痛または片頭痛で、さらなる摂取がなければ、3日以内に消失する頭痛と定義されています。ピルの休薬期間に起こる頭痛です。このような頭痛があることさえ知っていれば、自分で診断できそうですね。

うらじろようらく(男体山頂上付近 7月)

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