• 2024年3月4日

見逃されやすい高齢者てんかんの特徴:抗てんかん薬がきわめて有効です

てんかんは小児に多い病気と思われがちですが、実は高齢者(60歳を過ぎてから急にふえる)のほうが多い病気です(60歳以上の100人に2人)。原因として、MRIやCT検査をしてもわからないものが半分(原因不明)、残りの半分には、脳血管障害、認知症、炎症、腫瘍、外傷などの病気が含まれます。アルツハイマー型認知症の10%に合併するとの報告もあります。症状としては、気を失って全身が痙攣する全般化発作もありますが(診断は容易です)、多くは、他の人から見て、ボーとしている、問いかけに答えが返ってこない、的外れな答えをする、口をもごもごする、意識がはっきりしない、動作がとまってしまうなどの症状、あるいは本人が何をしていたのか覚えていないと感じるという症状となります(複雑部分発作)。脳波の異常が現れるのは、発作時のみのことが多く、脳波に異常がないからといって「てんかん」ではなかったことにはなりません。高齢者てんかんの特徴は、初回発作後に再発が多く、薬の有効性が高いことにあります。このような特徴から、誤診して安易に薬が出されていることも経験します。鑑別すべき病気は、脳卒中、循環器疾患、代謝・内分泌疾患、睡眠異常症、精神心理的疾患など多岐にわたります。そのため、発作がいつ、何をしているときに、どのように、何度くらい起こったかの詳細に伺って正確に診断する必要があります。もし、疑われる症状が身近な方にあるのなら、携帯のビデオに記録して医療機関にもっていくことをお勧めします。

いわつめくさ(北岳 八本歯のコル付近 8月)

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