• 2026年6月23日

においがしない(嗅覚障害)方へ:αシヌクレイン病(パーキンソン病・レビー小体型認知症)の始まりの可能性があります

多くの神経変性疾患でにおいがしなくなる(嗅覚障害)ことは知られています。αシヌクレイン病はその代表疾患と言えます。αシヌクレインがいつどこの神経細胞に蓄積するかによって多様な症状がおこる病気ですが、嗅神経の障害が一番多いのが特徴です。自覚されない方も多いのか、嗅覚障害で来院される方はまれです。

αシヌクレイン病とは

αシヌクレインというタンパク質が異常に凝集して溜まることで、神経細胞が徐々に障害され、脱落していく進行性の神経変性疾患の総称です。αシヌクレイン病は単一の固定された経過をたどるものではなく、発症年齢、初期症状、進行具合もさまざまです。その患者さんによって異なる症状の疾患であると言えます。αシヌクレインを可視化する技術はまだ一般的にはなっていません。

多系統萎縮症もαシヌクレイン病の一つですが神経細胞ではなく、その周囲にあるオリゴデンドロサイトに溜まり、嗅覚障害は少ないのが特徴です。

症状の多様性

診断

特徴的な症状であるために診断はそれほど難しくはありませんが、脳MRIやCTでは診断できません。αシヌクレインそのものを画像やバイオマーカーで調べることは一般的にはなっていません。αシヌクレイン病特有の神経変性を、ドパミントランスポーターシンチグラフィ(DATスキャン)やMIBG心筋シンチグラフィといった核医学検査で確認しますが、該当する症状(パーキンソン症状や起立性低血圧)がない場合には陽性とならないこともあります。

治療

現時点では、溜まってしまったαシヌクレインの凝集そのものを除去したり、神経変性の進行を止めたりする根本治療(原因療法)は確立されていません。それぞれの症状に応じた有効な治療薬があります:パーキンソン病にはレボドパをはじめとする各種抗パーキンソン病薬、レビー小体型認知症にはドネペジル、レム睡眠行動異常症にはクロナゼパム、便秘には各種便秘薬、起立性低血圧にはドロキシドパ、排尿障害にはβ3アドレナリン受容体作動薬など。

予防

嗅覚障害や便秘だけでαシヌクレイン病が疑われる場合、パーキンソン病やレビー小体型認知症に進行しなくてすむ方法はないのかと考えます。十分なエビデンスがある予防法はありませんが、運動療法が進行を遅らせることは報告されております。疾患を十分理解し、睡眠・食生活・運動など健康的な生活を送ることが重要ではないかと考えます。

Attems J, Walker L, Jellinger KA. Olfactory bulb involvement in neurodegenerative diseases. Acta Neuropathol. 2014 Apr;127(4):459-75. doi: 10.1007/s00401-014-1261-7. Epub 2014 Feb 20. PMID: 24554308.

いわおとぎり(北岳 7月)

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