• 2024年5月13日

将来、認知症(アルツハイマー)を発症するかどうか予測できる検査

通常の社会生活を送っておられる方が、MRIで萎縮の程度を測定すると、認知症が予測できるように記載してある記事を見かけることがありますが、予測はできません。(MRIは脳や体の状態を知るためには有用な方法です)。

アルツハイマー型認知症の病因は、アミロイドbetaとタウという二つの不溶性蛋白が脳内に蓄積することです。これらによって神経細胞が障害され発症します。アミロイドbetaは認知症を発症するはるか前(10~20年前)から蓄積をはじめ、次にタウが蓄積していくことがわかっています(プレクリニカル期)。これらの蓄積がある限界を超えたときに認知症を発症するのです。つまり、脳内に蓄積したこれらの蛋白をなんらかの方法で知ることができれば、認知症を発症する前に予測できることになります。

これまで多くの研究が行われ、PET(ポジトロン断層撮影)検査と脳脊髄液検査で認知症の予測が可能と考えられています。血液で簡単に測定できないか研究も進んでいます。PET(ポジトロン断層撮影)検査は、陽電子を放出する放射線同位元素で標識された薬剤を注射しその薬剤の体内での分布を画像化する方法です。主にがんの診断等で用いられています。最近、認知症に関しても保険で受けることが可能となりました。しかし、検査が高額で、PETのある施設が限られているため希望しても簡単には受けられないのが現状です。

一方、脳脊髄液検査は、腰に針をさして脳脊髄液を採取します。熟練の医師のもとでは比較的簡単に行うことができます。アミロイドbetaとタウが脳内に蓄積すると、脳脊髄液中アミロイドbetaは減少しタウは増えます。

アミロイドの抗体薬であるレカネマブ(レケンビ)使用にあたっては、アミロイドPETか脳脊髄液中アミロイドbeta42/40の測定が必須となっています。

これらの蛋白の蓄積が確認された人には高率で認知症が発症するという研究があります。現在、認知症が発症する前(プレクリニカル期)に、アミロイドやタウの存在が確認された健康な人に抗体薬を投与し、認知症が予防できるかどうかの研究が行われています(動物実験ではすでに多くの研究があります)。そして、学問の流れは、認知症になる可能性がある人をより確実に選択し、予防できる薬剤を使用して認知症をなくすという壮大な夢に向かって進んでいます。

うすゆきそう(聖岳 8月)

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