• 2024年2月13日

なぜ有酸素運動がよいのでしょう。脂肪代謝の観点から理解しましょう。

脂肪は、タンパク質、炭水化物とともに三大栄養素のひとつ

脂肪は、タンパク質、炭水化物とともに三大栄養素のひとつで、同じ重量に含まれるエネルギーが大きいことが特徴です。疎水性ということもあり、大量のエネルギーを貯蔵するのに適した物質と言えます。運動時には、炭水化物の貯蔵物質であるグリコーゲンから使用され(無酸素解糖系)、その後に、大量の酸素が必要な脂肪が使われます(有酸素系)。瞬発的な激しい運動よりは、持続的な有酸素運動の方が脂肪の消費によいとされるのはこのためです。

中性脂肪(triglyceride)は口から摂取する脂肪の大部分

中性脂肪とコレステロールは重要な脂質成分です。そのほか、リン脂質、遊離脂肪酸がありますが、中性脂肪(=triglyceride)は口から摂取する脂肪の大部分を占め(そのため食事の影響を受けやすい)、エネルギーの供給と貯蔵を担っています。中性脂肪は酸塩基平衡からいって中性で、難溶という性格は共通ですが、トリグリセリド(トリは3の意味)と言うように、グリセロールの3つの水酸基に脂肪酸が結合したもので、脂肪酸には、ステアリン酸、オレイン酸などいろいろな種類があって、脂肪酸の種類によって性格が異なっています。 動物性油脂は、二重結合をもたない脂肪酸(飽和脂肪酸)が多く含まれ、そのため融点が高く、常温では固体となっています。植物性油脂は不飽和脂肪酸を多く含み常温で通常液体です。

脂質の蓄積と分解

脂肪酸は食餌から直接摂取されるほか、過剰に摂取したエネルギーを利用して、主として炭水化物から体内で合成されます(体内で産生されない脂肪酸もあり、必須脂肪酸と呼びます。オメガ-3脂肪酸に属すα-リノレン酸とオメガ-6脂肪酸に属すリノール酸です)。脂肪酸は筋肉などの細胞内でエネルギーとして利用されるほか、一部はその細胞内で中性脂肪として貯蔵されます。また、脂肪組織を構成する脂肪細胞にも中性脂肪として貯蔵されます。空腹時や運動時など、エネルギーが不足した際には、脂肪細胞に蓄えられた中性脂肪は、加水分解され、脂肪酸とグリセロールとなって血中に放出されます(脂肪動員)。脂肪酸はアルブミンと結合して遊離脂肪酸となり体の各細胞に渡されます。脂肪酸は、細胞内のミトコンドリアで、酸素を用いて二酸化炭素と水に分解されることにより大きなエネルギーを生み出します(有酸素系)。

脂肪酸を利用するのが有酸素運動(aerobic exercise)

比較的軽度から中程度で、長時間続ける運動を有酸素運動と呼びます。早足で歩く、走る、サイクリング、水泳、エアロビクスなどがあります。有酸素運動では、運動中に酸素が利用され、脂肪酸が酸素と結びついてエネルギーに変換されます。そのため、体脂肪の削減や体重管理に寄与します。また、有酸素運動は基礎代謝を向上させます。基礎代謝が向上すると、安静時でもより多くのエネルギーが消費されるため、脂肪の蓄積を防ぐのに役立ちます。さらに、有酸素運動は、糖尿病や心臓病などに関連する内臓脂肪と呼ばれる腹部の脂肪を減少させるのに効果的です。有酸素運動を心がけましょう。

いわぎきょう(八ヶ岳 横岳付近 8月)

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