• 2024年8月18日
  • 2024年9月21日

開業3年目の雑感

1大学病院

大学を定年退職した後に開業医になって2年となります。環境が大きくかわりましたが、自分を適応させやっていこうと思っていましたので、それほどの苦労は感じず、大学医療人と一般医家を両方経験できたことに医師として充実した気持ちでいます。脳に軽度の異常があるが経過観察でよいと説明しても、大学病院を紹介しろと言われることがあります。人々の大学病院・大病院信奉は驚くほどで、開業医は軽く見られていることを感じます。若く経験の少ない医師にあたることもあるのに、と思いながら紹介状を書いています。なかには、検査漬けの大学病院の本質を見抜いている方もいます。

2医療圏

「町田は東京ではない」と巷では言われてますが、医療の現場でもそのように感じます。アルツハイマー病の原因物質を検索して根本原因を取り除く薬が使用可能となっています。東京23区にはこの薬が使用できる病院は37か所あるのですが、多摩地区には1か所のみで、人口43万人の町田市にはありません。一番近い相模原の認知症疾患医療センターにお願いしているのが現状です。一方、高齢者のインフルエンザやコロナワクチンは、県境を越えては助成されない現実があります。

3ガイドライン

これまでは脳神経疾患のなかでひとつの狭い領域を深く掘り下げていましたが、今は幅広く内科疾患から関連疾患までがレパートリーに入りました。患者さんの問題点を、専門分野からのみでなく、できる限り全人的に診ることを心がけています。各疾患にはガイドラインが作られているため助かります。ガイドラインを参考にしながら診療し経験を積んでいます。

4web講演会

コロナ前までは、会場に行かないと聞けなかった講演会がクリニックや自宅で視聴可能となりました。学会も同様です。開業医にとっては大いに役立ちます。医師会や製薬メーカー主催の講演会は月に半分くらいあるでしょうか?だいたい診療の終わる午後7時くらいから1~2時間の講演会です。自分が専門としない診療科の最新の話題が勉強でき大いに助かっています。できる限り参加するようにして知識を深めています。

5文献収集

これまでは文献は図書館から自由にダウンロードして読んでいましたが、開業すると大変です。ジャーナルが電子化され、購読料が上がり、大学図書館の運営費を圧迫していることは聞いていましたが、大学に属さない一個人が文献を収集するのはかなり困難です。必要な時は、ただでダウンロードできる文献を選んで読み、keyとなる論文のみ購入しています。

6心療内科

私は脳神経を専門としていますが、手がしびれるなどの脳神経の症状があっても脳神経疾患ではない場合がかなりあります。実際、プライマリケアにおいて医学的に説明できない身体症状を訴える人は50%以上とも報告されています。このような症状に苦しむ患者さんは行き場に困る場合が多いため、「なんでもないから」で終わらせずに治療を試みています。心療内科の一翼を担っている現状ですが、かなりの手ごたえを感じています。

7クチコミ

オリンピックでもSNSでの誹謗中傷が問題となっていますが、クリニックに対するクチコミもまた、匿名でなんでも書けるためか、クリニックの評価とはかけ離れたものとなっています。医学の知識や医療の常識を知らないための誤解もあり、少しでも気に入らないことがあると、大袈裟に書き立てて、貶めようとします。どうにかならないものかと腹立たしく感じます。

以上、とりとめなく雑感を記しました。

しこたんそう (荒川岳付近 8月)

脳神経まちだクリニック 042-732-6077 ホームページ