- 2025年11月1日
新しい片頭痛薬(治療薬+予防薬):リメゲパント
ゲパント(経口CGRP受容体拮抗薬)のひとつであるリメゲパント(ナルティーク ファイザー 75mg)がもうすぐ使用できるようになります。この薬剤は頭痛時の治療薬としても予防薬としても使用できるのが特徴です。CGRPは体内に広範に発現しているペプチドで、脳を包む膜(硬膜)の三叉神経終末から片頭痛時に放出されます。CGRPは血管を拡張させることにより片頭痛を引き起こします。抗CGRP抗体薬(注射)は、片頭痛の予防薬として使用されていますが、今回開発されたのは、CGRPの受容体に拮抗する飲み薬です。予防薬としても、治療薬としても有効性が確認されています。リメゲパントのTmaxは1.75時間、T1/2は10~12時間とされています。経口CGRP受容体拮抗薬は第一世代のゲパントで肝機能障害があって開発中止となった経緯があります。肝機能障害、腎機能障害のある方は血中濃度が上昇するため注意が必要です。リメゲパントはCYP3A4を介した肝代謝であるため、クラリスロマイシンなどCYP3Aを阻害する薬剤では血中濃度が上昇するため避ける必要があります。また、CYP3A誘導剤であるカルバマゼピンなどとの併用では効果が弱くなる可能性があります。
治療薬としては第一選択薬のトリプタン製剤の効果が十分でないか、副作用がある場合によい適応になりそうです。また、予防薬としては、慢性片頭痛で、抗CGRP抗体薬の注射ができないか効果が限定的な場合によいのではないかと思えます。
片頭痛治療薬(頓挫薬)の比較
| 薬剤 | 特徴 |
| 鎮痛薬 アセトアミノフェン イブプロフェン ロキソニンなど | 効果あるが安易に飲みすぎると頭痛が増える。だんだんと効かなくなっていくことが多い。 |
| スマトリプタン(イミグラン)・ゾルミトリプタン(ゾーミック)・エレトリプタン(レルパックス)・リザトリプタン(マクサルト)・ナラトリプタン(アマージ) | 片頭痛発作時の第一選択薬。頭痛が始まってすぐに服用することが大切。時間がたつと効果が弱くなる。 |
| ラスミジタン(レイボー) | 頭痛発症後いつ服用しても効果があるが、眠気・倦怠感などの副作用が多い。 |
| リメゲパント(ナルティーク) | 頭痛時に1錠服用(1日に1錠のみ服用できる) |
片頭痛予防薬の比較
| 薬剤 | 特徴 |
| アミトリプチリン(トリプタノール) | 抗うつ薬。下降性疼痛抑制系に関与。眠気の副作用。 |
| バルプロ酸ナトリウム(デパケン) | 抗てんかん薬。眠気の副作用。 |
| トピラマート(トピナ) | 抗てんかん薬。頭痛には保険適応がない。 |
| プロプラノロール(インデラル) | 抗不整脈薬。喘息患者には使用できない。リザトリプタンと併用禁忌。 |
| ロメリジン塩酸塩(ミグシス) | カルシウム拮抗薬。効果は少し劣る。 |
| 抗CGRP抗体薬(注射)(エムガルデイ・アイモビーグ・アジョビ) | 経口の予防薬と比較し有効。1か月(あるいは4週)に1回。3割負担で月に約1万円と高額。 |
| リメゲパント(ナルティーク) | 一日おきに服用。 |

たかねすみれ(北岳 くさすべり 8月)